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個人と企業をつなぐコミュニケーション・テクノロジーNo.1

Bluetooth Low Energy

2014/05/20

今や生活者のコミュニケーションに欠かせないスマートフォンとアプリ。それらの機能を支えているのが各種テクノロジーである。コミュニケーション・テクノロジーを知ることは、個人と企業のコミュニケーションや、サービス開発を考えるうえでのヒントになるだろう。

本企画「個人と企業をつなぐコミュニケーション・テクノロジー」では、その基礎となるさまざまなテクノロジーを順に紹介していきたい。#1では、Bluetooth Low Energyを取り上げる

 

Wi-Fi経由で生活者のスマートフォンアプリと通信させることが可能

 

 

Bluetooth Low Energy(以下、BLE)とは、例えば店舗などにWi-Fi電波を飛ばす小さな端末を設置すると、店舗内にいる生活者のスマートフォンアプリと通信させることが可能となり、流通・家電量販店・イベント会場・交通広告・OOHなどで活用されている。端末からWi-Fi電波が飛ぶ範囲は環境によっても変わるが、10~15mとされている。

BLE施策を行うと、生活者はBluetooth機能をオンにしておけば、アプリを起動することなく、店舗に入るだけで(あるいは店舗前から)、商品情報、クーポン、タイムセール情報などを受け取ることが可能となる。

BLE技術は、電波を飛ばす小型端末の単価が低くなり精度が高まってきているため、実証実験から実用レベルまで、この1~2年内に多く実施されると思われる。

 

BLEが他の技術より進んでいる3つの点

店舗に近づいて専用アプリを起動すると、商品情報やクーポンなどを獲得できるものはすでに存在しているが、BLEは、それらより以下の3点において進んでいると思われる。

●ユーザーがアプリを起動していなくても、Wi-Fi機能をオンにしておけば自動的に通信ができる。

●省電力機能なのでユーザーに電池消費を今までより気にさせなくて済む。また電波を発する小型端末側も同様に省電力であり小型電池で1年以上使用できる。

●技術が進んで小型端末の単価が安くなり、性能も向上しつつあるため、店舗での実証実験から実用までを試せる状況になっている。

上記は、ユーザー体験(UX)にとって重要な機能を、テクノロジーで実現しているといえる。言い換えると、今後当たり前のように使われていくコミュニケーション・テクノロジーに必要なのは、「リアルタイム性」「導入の簡易性」「継続性」だろう。

これらの条件は、アプリを生活で使うユーザー側と、コミュニケーションツールとしてビジネスに導入する企業側の両方にかかってくる。

企業側は、ユーザーがアプリを活用することでデータが取れ、技術を更新して更に利便性を高めることでユーザー数を増やせる。コミュニケーション・テクノロジーは有意義なUXを提供するだけでなく、そのUXを継続させ進化させるという企業側の体験でもあるのだ。

 

BLEによる新しいコミュニケーション

近々BLEを使って出現するであろう新しいコミュニケーションは、以下のようなものが考えられる。

 

店内ナビゲーション
BLEの電波により、商品に近づくと商品情報が出るのは当たり前。ユーザーの望む商品の棚へナビゲーションすることも可能となる。また、ユーザーの店内回遊履歴を取ることも可能となる。

 

 

スマートフォンをかざすことなく自動決済
例えばユーザーが、イベント会場のような場所に出入りする際、スマートフォンやクレジットカードをかざすことなく自動決済を行うことも可能である。その場合、会場側でクレジットカードの読み取り機や、決済用の専用回線といったインフラを用意しなくても済んでしまう。

 

 

自動ご意見箱
アプリ上で意見を書いておくと、店舗に行ったときに自動的に回収され、また店舗スタッフからのレスポンスを受け取ることも可能。

 

 

一から新しい企業アプリを制作する可能性も考えられるが、すでに多くのユーザーからダウンロードされている自社アプリを保有する企業であれば、アプリのアップデートの際にBLE機能を付加してもいいだろう。あるいはすでにBLE機能を備えたアプリで使用ユーザーの多い「tab」(行きたい場所やイベントを登録しておくと、近くに行ったときに教えてくれるアプリ)や「スマポ」(店舗に入っただけでクーポンが貰える)を活用する方法もある。

自社で作るか、既存アプリを活用するか、いずれにしてもUXとして最も有効な開発はどういったものかを見極めることが重要である。