loading...

それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習No.6

変化の時代こそ原点回帰。コピーライターが提案する「自分の仕事」の解釈術。

2022/03/09

こんにちは、コピーライターの阿部広太郎です。

突然ですが、質問させてください。

あなたは今、どんな仕事をしていますか?

ウェブ電通報の読者の皆さんの多くは、今、何かしらの仕事に取り組まれているのではないかと思います。「仕事」とは書きましたが、時間を割いて取り組んでいることを想定しています。学生の方であれば、学業だって仕事と捉えられると思うんです。

おはようからおやすみまで。毎日、自分が時間を注いでいること、習慣として取り組んでいることを思い浮かべてみる。日々を積み重ねていけば、どうしても初心の色鮮やかさは薄れていくと思うんです。

仕事に慣れることはいいことだけど、同時に小さくなっていく刺激。自分で選択したはずなのに、人間関係に、目の前の仕事に疲弊して、なぜ今このことに取り組んでいるのだろうかと見失う時だってあります。もう一度、その仕事に取り組んでいる理由を思い出すためのワークとして冒頭の問いかけを考えていきたいと思います。

まずは深呼吸、姿勢を正して、自分に投げかけてみます。

自分の仕事を、自分自身はどう捉えているのか?

この問いを自分の心の井戸に掘り下げていった時に、そこには思いがあふれていると思うのです。

不安と期待が混じった初心。
秘かに抱いていた目標。
それに、野心や野望。

汲み上げてきた思いを、見つめて、触って、包み込んで、自分なりに名前をつけてみましょう。そうすることで、原点回帰ができて、心が整う感覚を得られるはず。さらには、相手に自分の仕事を紹介しやすくなると思うのです。

コピーライター→言葉をあつかう商人

先陣を切って僕の仕事への解釈を紹介します。僕の仕事はコピーライターです。コピーライターという職業に、どんなイメージを抱くでしょうか?

オシャレな言葉を書く人?
お笑い芸人さんみたいにうまいことを言う人?
広告に入っている言葉を書く人?

こんな感じかなと思っていたのは他ならぬ僕自身です。オシャレって何だよ、とかつての自分にツッコミたくなりつつ、コピーライターになる前の僕は、超ざっくりとした表面的なイメージしか持っていませんでした。

仕事をしながら僕自身が思ったことはこうでした。コピーライターは、普段みんなが当たり前のように使っている言葉をあつかう。言葉を選び、言葉を磨き、言葉を贈る。その結果、人と人をつなぎ、商売をつくり、経済を動かす。そしてこう名前をつけました。

コピーライターとは「言葉をあつかう商人」なんだ。

仕事を語る上で、少々のロマンチックは必要だと僕は思います。どんな風に解釈するかにドラマがある。額に汗する自分を誇れる、そんな気持ちを込めていい。

自分の仕事に名前をつけることで浮かびあがる、百人百色の解釈。

大学で、企業で、ワークショップをしてきた100名分の「自分の仕事に名前をつける」をここに紹介します。十人十色ならぬ百人百色の解釈を感じてもらいたいし、「自分ならどう名付けるかな?」という視点で見てもらえたら嬉しいです。

12
『それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』 P.88,89より引用
34
『それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』 P.90,91より引用

ずらりと並ぶ100名の「仕事の解釈」を何度も眺めてしまいます。知らなかった仕事に対して、どんどん想像が広がっていく。その名前から、仕事に向けた情熱を感じられてワクワクしてきます。

「人生バラ色より色々」

大学生の時、友人からもらった年賀状にそう書いてありました。一色に染まるよりも、色々を味わえる人生の方が楽しいよね、と教えてくれたことを思い出します。

たとえ同じ仕事だとしても、人によって捉え方は違います。違いがあるからこそ面白いのだと思います。一人ひとり違う人生観があるように、本当に色々な仕事観があり、それを感じることができる幸せがある。

あなた自身と、あなたの目の前の仕事の掛け算から、世界で一つの言葉が生まれます。世間一般の「こんな感じでしょ」というイメージのその先にある、自分の肉体で獲得してきた言葉。名付ける素材を集めるために、問いを重ねて思い出を集めていきます。

仕事をはじめたきっかけから、嬉しいことやつらいことや、自分を支えるモチベーションや、その先に何を目指しているか?入口から出口までを、自分自身にインタビューしていきます。たとえばこんな問いかけを自分自身にしていくと良いと考えています。

どうしてその仕事をはじめましたか? 
どんな嬉しいことがありましたか?
どんなつらいことがありましたか?
どんなことがモチベーションですか? 
どんなことを目指して働いていますか?

その上で、言い換える。イメージを探す。連想ゲームをしてみる。語呂を考える。

考えること、創作することは、自分自身に問いかけていくことそのものだと思います。自分に問いかけ、思い浮かんだことを書き出していくだけでもいい。きっと少しずつ、自分だけの仕事観が浮かび上がっていくはず。

するとどうでしょう、一つひとつ迷いながらも決めた名前を通じて、自分にとってお馴染みの仕事がちょっと新鮮に見えてくる。名付けたら愛着が湧いてくる。今の仕事ではなくて、自分が本当にやりたい仕事に気づくきっかけになる人もいるかもしれません。

『それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』
『それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』
ディスカヴァー・トゥエンティワン、288ページ、1650円(税込)ISBN 978-4799327371

自分で選んだ仕事。その仕事への思いは日々変わっていきます。自ら意識的に選んだ仕事に、今度は言葉を選んであげる。せわしない毎日の中で、自分の思いに目を向ける時間をつくる。その積み上げで、納得して過ごせる日々をつくりだしていけると思います。

自分の現在、過去、未来を解釈していく方法について、僕の著書『それ、勝手な決めつけかもよ?』に書き上げました。ぜひご覧ください。心が軽くなる、明日が楽しみになるヒントがきっと見つかると信じています。

この記事を読んだ人は、こちらの記事もおすすめです
才能、道具、センス不要!コピーライターの発想法「100案思考」
息苦しさをアートで救う、「呼吸を見る展」とは?
ジェンダーと恋愛。桃山商事 清田隆之さんに相談してみた。

 

tw