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ispace、2022年末頃(※)に打ち上げへ、「HAKUTO-R」のミッション1と2の進捗報告会を実施 

2022/02/09

    月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップ企業ispaceは1月25日、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション1と2の開発進捗(しんちょく)報告会を、東京・中央区にあるHAKUTO-Rのミッションコントロールセンター(管制室)前よりライブ中継で行った。

    ※2022年2月時点の想定

    ドイツで組み立て工程の最終段階に入るランダーのフライトモデル
    ドイツで組み立て工程の最終段階に入るランダーのフライトモデル

    ミッション1で使用するランダー(月着陸船)のフライトモデルの開発状況について、ドイツの開発現場で撮影した映像を公開しながら下村秀樹CTO(Chief Technology Officer)より最新情報が共有された。また、並行して進めているミッション2の進捗状況にも触れ、ルクセンブルクにあるispace Europeで開発を本格化しているマイクロローバー(小型月面探査車)の初期構想図を公開した。

    袴田武史Founder & CEOからはミッション1の概要説明があった。袴田氏は、月面着陸の技術実証を目的とするミッション1のポイントとして、「月面着陸時の自動誘導制御や衝撃吸収」「7個のペイロードを月面に輸送、実証実験」「ミッションコントロールセンターの入念な準備」「民間ならではの設計」の4つを挙げ、「月面に着陸してお客さまの荷物を月面に届ける。一部のペイロードは切り離して電力や通信を提供していく。それがわれわれのミッションの成功と考えている」と語った。宇宙飛行士の毛利衛氏は「宇宙では最初の挑戦ですべてがうまくいくとは限らない。どこまでいったら成功かというサクセスクライテリア(成功基準)をきちんと設定しているのは良いこと」と評価した。

    (左から)袴田武史Founder & CEO、毛利衛氏、大河原邦夫氏
    (左から)袴田武史Founder & CEO、毛利衛氏、大河原邦男氏

    また、毛利氏から今後の宇宙開発について問われた袴田氏は「月面に人間を送るだけでなく、モノを送ること、そして両者の協力関係が大事になってくる。われわれは『ムーンバレー2040』という構想を掲げており、2040年代には1000人くらいの人が月で活動していてほしいと考えている。人間の活動をサポートするためにさまざまな物資が必要となる。そのインフラをつくっていくことがispaceにとって重要なミッションになってくる」と語った。

    大河原邦夫氏が原画を描き下ろしたランダーをメインビジュアルにした新聞広告(1月26日 朝日新聞・朝刊)
    大河原邦男氏が原画を描き下ろしたランダーをメインビジュアルにした新聞広告(1月26日 朝日新聞・朝刊)

    続いて、メカニックデザインの大河原邦男氏により特別に描き下ろされたランダーの原画が紹介された。大河原氏は「今回のような重要なプロジェクトのキービジュアルを描かせてもらうプレッシャーは大変なものだった」としつつ、「子どもたちが地球環境や人間が宇宙に出ていくことに若いときから興味をもってくれたらうれしい」と語った。

    ispaceは、ドイツでのランダーのフライトモデルの組み立てと並行して、ランダーの管制に備えるためにミッションコントロールセンターで管制オペレーションの訓練を本格的に始めている。ランダーは環境試験終了後、打ち上げ予定地のアメリカ・フロリダに輸送される。具体的な打ち上げ時期は2022年末頃(2022年2月時点の想定)を予定している。


    ispace公式サイト:https://ispace-inc.com/jpn/


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